この記事でわかること

教科書に書いてあるアミノ酸の構造式は、
何万人 何億人もの研究者が
少しずつ積み重ねた「取り出す→調べる→推理する」の結果。
努力の結晶。

アミノ酸はどうやって見つかった?

こはく。“アミノ酸はこういう構造です”って言われても、最初は覚えにくいよね。

うん…図を見ても、正直ピンとこない。

じゃあ今日は、どうやってアミノ酸が見つかって、
どうやって構造が分かっていったのか。
一緒に追いかけてみよう。

昔はね、NMRも質量分析もなかった。

えっ…じゃあ、どうやって調べたの?

取り出す → 性質を調べる → 反応で推理する。
それを、何度も何度も繰り返したんだよ。

ステップ1:アミノ酸の発見

1806年。アスパラガスの汁から、
キラッと光る結晶が出てきた。

え、野菜の汁から結晶!?

そう。それが“アスパラギン”。
最初に見つかったアミノ酸とされている。

そして1820年。今度はゼラチンを酸で分解した。

タンパク質を壊したってこと?

そう。するとまた、別の物質が出てきた。
それが“グリシン”。

ステップ2:性格を調べる

次に研究者がやったのは、“性格”を調べること。

性格?

酸っぽいか、塩基っぽいか。

どっちだったの?

どっちも。

え!? ずるい!

酸としても、塩基としてもふるまう。
さらに塩酸とくっついて“塩”の形も作る。

ってことは…?

–NH₂(アミノ基)と –COOH(カルボキシル基)を両方持っている可能性が高い、と推理された。

見えないけど、性格から“部品”を当てたんだ。

ステップ3:アミノ酸を作る(ストレッカー合成)

1850年代。ストレッカー合成が登場する。

それ、何がすごいの?

材料を組み合わせると、“α-アミノ酸の形”が作れることが
示された。

え…作れちゃったの?


ここが大事。
自然から取り出したものと、化学で作ったものが“同じタイプ”だった。

同じ…?

つまり、タンパク質を作るアミノ酸は
“真ん中の炭素に大事な部品が集まる型”が中心だと確信された。

推理が、確信に変わった瞬間だね。

ステップ4:アミノ基をみつける(ニンヒドリン反応)

1910年。ニンヒドリン反応が見つかる。

それは何するの?

アミノ基があると、紫に変わる。

色がつく!?

 



アミノ基がほんの少ししかなくても、“ここにある”と分かるようになった。

見えなかったものが、見えるようになったんだ。

じゃあ紫になったら、アミノ酸ってことでいいの?

そこは注意。ニンヒドリンは“アミノ酸だけ”じゃなくて、遊離アミノ基(–NH₂)を持つ物質なら反応する。たとえばアミンでも陽性になるよ。

じゃあ、紫=アミノ酸確定じゃないんだ。


うん。でもそのサンプル中に“遊離アミノ基がある”って
素早く分かるだけで、次に調べる場所が一気に絞れる。
だからアミノ酸の研究が進みやすくなったんだ。

まとめ

1806年:アスパラギン(アスパラガス汁から結晶)

1820年:グリシン(ゼラチン分解)

1850年代:ストレッカー合成(型を確信)

1910年:ニンヒドリン反応(微量でも検出)

最新の機械がなくても…ここまで分かったんだ。

取り出す → 性質を調べる → 反応で推理する。
それを積み重ねた結果だよ。

次回予告

歴史は分かった。でも…アミノ酸の構造を覚えるのは
むずかしいよ。

うん。だから次回は、本格的に“基本構造”を
いっしょに見ていこう。
“覚える”じゃなくて、“わかる”に変えるよ。

🌿 ブログ特典 豆知識

実は「アミノ酸」という名前は、随分あとにつけられた。

こはく、“アミノ酸”って名前。
発見当初から付けられたと思う?

え、違うの?

違うんだよ。最初はただの“結晶”と呼ばれていた。
1806年に見つかったアスパラギンも、研究者たちは最初、
「なんだこの結晶は?」としか思っていなかった。

その後、
・酸の性質を持つ
・塩基の性質も持つ
と分かってきて、
「これは“アミノ基を持つ酸”だ」と整理されるようになった。

そして後から “amino acid(アミノ酸)”という
概念が生まれたんだよ。

🌱 つまり

アミノ酸は、最初から“定義された分子”だったわけじゃない。
発見 → 性質の理解 → 共通点の整理
その積み重ねで、
あとから「仲間」としてまとめられた存在なんだ。

最初から正体が分かってたわけじゃないんだね。

そう。科学ってね、“分かった”というより“
整理できるようになった”に近いんだよ。

📌 ブログだけのひとこと
教科書に書いてある構造式は、
何億人もの研究者が
少しずつ積み重ねた“推理の結果”。
だからアミノ酸の構造を学ぶことは、
昔の研究者の思考を巡る旅みたいだよね。


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この記事の内容を、会話形式でテンポよくまとめました。
「ここ、もう一回だけ整理したい」人は動画からどうぞ。


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ABOUT ME
Dr. しろねこ
ねこが好き。医師・医学博士。 留学先で学生さんに生化学を教えたことがきっかけで、 「むずかしい」を「おもしろい」に変える入口を届けたいと思うようになりました。 日々のパフォーマンスを上げるために、筋トレもコツコツ続けています。