9. 酸性アミノ酸・中性アミノ酸・塩基性アミノ酸の滴定曲線の違い
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1. まず結論です▲ 目次へ
滴定曲線が苦手な人は、ほぼ全員「グラフの形」から覚えようとして
失敗しています。
でも、本当に見るべきなのは形📈ではありません。
どこが H⁺ を手放す👋🏻ポイントなのか。
どこが H⁺ を受け取る👊🏻ポイントなのか。
そのアミノ酸に、H⁺ を出したり受け取ったりする場所が
何か所あるのか。
・中性アミノ酸は、主に2か所
・酸性アミノ酸は、主に3か所
・塩基性アミノ酸は、主に3か所
これだけで滴定曲線は、かなり読めるようになります👍
📚目次
10.【🍀ブログ限定豆知識】🏋️♀️アミノ酸飲料の溶けやすさ? “どの形でいるか”でも変わる|💧溶けやすさを左右する電荷⚡️の話
2. 滴定曲線って、何を見るグラフ?▲ 目次へ
H⁺ がどの順番で外れるかを見る
うーん……
塩基を少しずつ加えたときに、
アミノ酸の電荷⚡️の状態がどう変わるかを
見るグラフ📈、かな。
いいね👍 かなり本質に近いよ。
滴定曲線は、酸や塩基を加えたときに
pH がどう変わるかを表すけれど、
📚アミノ酸で大事なのは、
どの H⁺ が、どの順番で外れるかなんだ。
アミノ酸には、H⁺ に関わる場所がある。
・COOH (カルボキシ基)は、H⁺ を手放しやすい
・NH₂ / –NH₃⁺(アミノ基)は、H⁺ を受け取りやすい
だから、そのH⁺ に関わる場所が
・2つあるなら反応も2段階になるし、
・3つなら反応も3段階になる、
って考えられるんだね。
3. まず、酸と塩基の意味を確認▲ 目次へ
〜酸は H⁺ を手放す。塩基は H⁺ を受け取る〜
ここで基本を確認しよう。
ブレンステッドの定義では、
酸 = H⁺ を与えるもの
塩基 = H⁺ を受け取るもの
あやふやになってしまうところだ。。。
酸は H⁺ を与える、塩基は H⁺ を受け取る、だね。

では、基本のアミノ酸を考えてみよう。
(中性アミノ酸)では、
中性付近の水溶液中で、主に
・アミノ基は NH₃⁺
・カルボキシ基は COO⁻
の形で存在しているよ。
詳しくは前の記事「アミノ酸のイオン性」も見てみてね。
もともとの COOH が H⁺ を手放して COO⁻ になった。
だから COOH は“酸”としてはたらいているんだね。
だから NH₂ は“塩基”としてふるまう、
でいいのかな?
COOH は酸性、NH₂ は塩基性と考えていいよ。

中性付近の水溶液中の形を
出発点🏁にして考えてみよう。
💧水溶液が中性から酸性に傾くと、
COO⁻ はどうなるかな?
COO⁻ は H⁺ を受け取って COOH に戻る。
ということは… COO⁻ は塩基として
ふるまっているってこと?
でも、そうすると……。
側鎖に COO⁻ を持つアミノ酸は
塩基性アミノ酸じゃないの?
COO⁻ は H⁺ を受け取って COOH になるので、
その瞬間のふるまいとしては塩基なんだ。
つまり、
・COOH は H⁺ を手放す側 → 酸
・COO⁻ は H⁺ を受け取る側 → 共役塩基
という関係だよ。
でも、ここで大事なのは、
・酸性アミノ酸
・塩基性アミノ酸
・中性アミノ酸 の分類は、
その側鎖が”もともとどういう性質を持つか”で決まる
ということなんだ。
なるほど。
つまり、側鎖に COO⁻ があっても、
もともとは COOH として
H⁺ を手放しやすい性質を持つ。
だから酸性アミノ酸と呼ぶんだね。
その通り。
今の形で見たふるまいと、
もとの側鎖の性質で決まる分類は、
分けて考えるのがコツだよ。
4. グリシンが基本形 中性アミノ酸は2段型▲ 目次へ
それではいよいよ滴定曲線📈を見ていこう。
まず⚖️中性アミノ酸の代表として
✅グリシンの滴定曲線をみてみよう。
グリシンの滴定曲線は、
一つ前の記事
「アミノ酸滴定曲線がついに読める!|
pKa・等電点・緩衝域を一気につなぐ」
で説明しているから、読んでみてね。
側鎖に特別な酸性・塩基性の強い部分がない。
・カルボキシ基
・アミノ基
の2か所なんだ。

だから、グリシンの滴定曲線は2段型なんだね。
5. 酸性アミノ酸は、なぜ3段型? 側鎖にカルボキシ基が1つ増えるから
次に酸性アミノ酸を見てみよう。
酸性アミノ酸の代表は、
✅アスパラギン酸
✅グルタミン酸
この2つは、グリシンと違って、
側鎖にもカルボキシ基を持っているんだ。
だから電離部位は3か所になる。
・α-カルボキシ基
・側鎖のカルボキシ基
・アミノ基
pH を上げると⤴️
①まずαカルボキシ基の H⁺
②次に側鎖カルボキシ基の H⁺
③最後にアミノ基の H⁺
の順に外れる。
だから3段型になるんだ。
しかも、マイナスを作る場所が1つ多いから、
全体としてマイナス寄りになりやすい。
そのぶん、全体の電荷がゼロになる地点は、
より低い pH 側にくる。
だから、等電点は低い側⤵️にくるよ。
¥
6. なぜ本体のαカルボキシ基のH+が先に外れるの?
酸性アミノ酸では、
どうして側鎖のカルボキシ基より、
本体のαカルボキシ基の H⁺ が先に外れるの?
いい質問だね。それは
α-カルボキシ基のほうが酸として強い💪からだよ。
つまり、H⁺ を手放しやすい👋🏻んだ。
H⁺ を手放しやすい👋🏻?
H⁺ を外して –COO⁻ になったあと、
そのマイナス電荷➖が安定しやすいんだ。⚖️
外した方が安定するから⚖️、先に外れるんだね。
そう。
側鎖のカルボキシ基は –NH₃⁺ から少し遠い。
だから、本体のαカルボキシ基ほどは
H⁺ を外しても安定しないんだよ。
本体のαカルボキシ基のほうが、
H⁺を外したあとの姿が安定しやすい。
だから側鎖のカルボキシ基より先に外れる。
こう考えれば大丈夫だよ。
7. 塩基性アミノ酸は、なぜ3段型?
次に塩基性アミノ酸をみてみよう。
塩基性アミノ酸の代表は、
✅リシン
✅アルギニン
✅ヒスチジン
この3つは、
側鎖にも塩基性部分を持っているんだ。
その通り。
電離部位は3か所になる。
①カルボキシ基
②α-アミノ基
③側鎖の塩基性部分

①まずカルボキシ基の H⁺
②次に α-アミノ基の H⁺
③最後に側鎖の塩基性部分の H⁺
が外れる。
だからこちらも3段型だよ。
しかも、プラスを保つ場所が1つ多いから、
全体としてプラス寄りになりやすい。
そのぶん、全体の電荷がゼロになる地点は、
より高い pH 側にくる。
つまり等電点が高く⤴️なるんだ。
8.なぜ側鎖の塩基性部分が最後まで H⁺ を持つの?
α-アミノ基の H⁺ が先に外れるの?
それは、側鎖の塩基性部分の方が
H⁺ をつかまえる力が強い💪からだよ。
その通り。
📚たとえば、
・リシンなら 側鎖のアミノ基
・アルギニンなら グアニジノ基
・ヒスチジンなら イミダゾール環
こういう側鎖は、α-アミノ基より H⁺ を引きつける力が
強いんだ💪
最後まで H⁺を離さない。
そう。だから塩基性アミノ酸では、
1. まず カルボキシ基 の H⁺
2. 次に α-アミノ基 の H⁺
3. 最後に 側鎖の塩基性部分 の H⁺
の順に外れやすいんだよ。
そしてそれは、αアミノ基よりも
側鎖の塩基性部分の方が
等電点が高い⤴️ことにもつながるね。
9. ここだけ押さえれば大丈夫 形ではなく、追加側鎖を見る
最後に、いちばん大事なまとめだよ。
・グリシン = 基本形 = 2段型
・酸性アミノ酸 = 酸性の側鎖が追加 = 3段型
・塩基性アミノ酸 = 塩基性の側鎖が追加 = 3段型
追加された側鎖が何者かなんだね。
酸性も塩基性もどちらも3段型だから、
形だけでは見分けにくい。でも、
側鎖が H⁺ を手放しやすい → 酸性アミノ酸
側鎖が H⁺ を受け取りやすい → 塩基性アミノ酸この視点があれば、かなり整理しやすくなるよ。
🐾 Dr.シロネコの応援メモ
使い終わった教科書📚はどうしていますか?医学書は価値が高いうちに整理するのが賢い方法です。次のステップへ進むための軍資金にするのも手ですよ。👍
【🍀ブログ限定豆知識】アミノ酸飲料の溶けやすさ?
“どの形でいるか”でも変わる”
溶けやすさを左右する電荷の話
滴定曲線って関係あるの?
あるよ👍
実は、アミノ酸が
どの pH でどんな電荷⚡️を持ちやすいかは、
サプリや飲料の💧溶けやすさや扱いやすさ
にも関わるんだ。
うん。
基本的にアミノ酸は、
⚡️電荷を持つ形だと💧水になじみやすく、
溶けやすくなることが多いんだよ。
より溶けやすい”塩”🧂の形で入っていることもあるんだ。
パッケージに”〇〇ナトリウム🧂”って書いてあるのを
見たこともあるんじゃないかな?
すっと溶けるか、だまになりやすいか、みたいな違いには
電荷の違いや、塩の形で入っているかどうかが
関係してるんだね。
そしてそれだけではなく
・他の成分と混ぜやすいか
・時間がたっても沈みにくいか
・味が変わらないかにもつながるよ。
なるほど。
アミノ酸の滴定曲線でわかる
「どの pH で、 H⁺ を手放すか・受け取るか」
という考え方は、
アミノ酸飲料の、
・飲みやすさ
・溶けやすさ
・配合のしやすさ
・製品の安定性 にもつながっているんだね。
参考文献/References
▲ 目次へ
アミノ酸の物理化学的性質(滴定曲線やpKa)について、
最も信頼性の高い記述がある名著です。
01
Lehninger Principles of Biochemistry
英語: Nelson DL, Cox MM. (2021). Lehninger Principles of Biochemistry, 8th Edition.
日本語: デービッド・ネルソン、マイケル・コックス(著)山科郁男 他(監訳) (2019年).
レーニンジャーの新生化学 第7版
(※第8版は邦訳準備中または原著参照).
今日のブログ記事に関する特徴: アミノ酸の滴定曲線について、なぜカルボキシ基がアミノ基より先に電離するのかを、近接する官能基の電子的な相互作用から論理的に解説しています。
02
Harper’s Illustrated Biochemistry
英語: Victor WR, et al. (2022). Harper’s Illustrated Biochemistry, 32nd Edition.
日本語: Victor W. Rodwell 他(著)清水孝雄(監訳) (2023年). イラストレイテッド ハーパー・生化学 原書32版
今日のブログ記事に関する特徴: 医療現場での応用を意識しており、pHの変化によるアミノ酸の電荷変動がタンパク質の構造(ヘモグロビンなど)にどう影響するかまで結びつけて解説されています。
03
Essential Cell Biology
英語: Alberts B, et al. (2023). Essential Cell Biology, 6th Edition.
日本語: 中村桂子、松原謙一(監訳) (2021年). エッセンシャル細胞生物学 第5版.
今日のブログ記事に関する特徴: 生化学の専門書よりも図解が非常にシンプルで、アミノ酸の側鎖の性質が細胞内の環境でどのように振る舞うかが視覚的に理解しやすくまとめられています。
2. 医療系学生に人気の、簡単に読める教科書・参考書 3選
試験対策や、基礎固めに最適な「読みやすさ」を重視した選定です。
01
カラー図解 生化学 ノート
英語: (N/A) Ishizaki S. (2021). Color Illustrated Biochemistry Notes, 1st Edition.
日本語: 石崎泰樹(監修) (2021年). カラー図解 生化学 ノート 書く・描く・塗るで、生化学をマスターする!.
今日のブログ記事に関する特徴: 自分の手で滴定曲線のグラフを描き込むスタイルになっており、「グラフの形をなぞる」ことで構造とpHの関係を体感的に覚えられる工夫がされています。
脳科学・学習科学的に見ると、
自分の手で滴定曲線を描き込む学習法は、非常に理にかなっています。
滴定曲線は、pH、H⁺の移動、電荷の変化、グラフの形を同時に理解する必要があります。
そのため、ただ読むだけでは記憶に残りにくい内容です。
しかし、自分で曲線をなぞり、描き込みながら学ぶことで、
目で見る情報、手を動かす感覚、頭で考える意味理解が結びつきます。
これは、学習内容を自分で描くことで記憶が強まる drawing effect や、
自分で考えて答えを作ることで記憶に残りやすくなる generation effect にも近い学習法です。
つまりこのテキストは、
生化学を「読むだけの知識」ではなく、手を動かして理解する「使える知識」に変える構成になっています。
02
はじめの一歩の生化学
英語: (N/A) Sanbe A. (2020). First Step in Biochemistry, 3rd Edition.
日本語: 三辺武幸(著) (2020年). はじめの一歩の生化学 第3版.
今日のブログ記事に関する特徴: 図が多く、文章も噛み砕かれており、なぜ酸性アミノ酸は「酸性」なのかといった根本的な疑問に答えてくれます。
『はじめの一歩の生化学・分子生物学』は、専門用語に圧倒されやすい初学者にとって、かなり入りやすい一冊です。
大学レベルの基礎を扱いながら、本の厚みは比較的薄く、内容はコンパクト。
最初の一冊として心が折れにくく、復習用としても知識の抜け漏れを確認しやすい構成です。
生化学をこれから始める人、分厚い専門書の前に全体像をつかみたい人には、手元に置いておきたい入門書です。
03
シンプル生化学
英語: (N/A) Imoto T. (2023). Simple Biochemistry, 7th Edition.
日本語: 井本泰治(監修) (2023年). シンプル生化学 改訂第7版.
今日のブログ記事に関する特徴: 滴定曲線のような試験で狙われやすい内容も、ポイントがコンパクトに整理されているため、直前の総復習に向いています。
『シンプル生化学』は、臨床検査技師や看護師を目指す学生さんにも使いやすい入門書として定評があります。
分厚い専門書を読み込む時間がないときでも、まず要点を押さえたい。
大学の講義でわからなかった部分を整理したい。
実習レポートを書くために、基本事項を確認したい。
そんな場面で役立つ一冊です。
イラストが見やすく、内容も簡潔にまとまっているので、生化学を効率よく理解したい学生さんにおすすめです。
